毎日の料理で少しずつ蓄積される油汚れは、放置すると頑固な汚れとなり、掃除が大変になってしまいます。この記事では、プロの清掃業者としての経験を交えながら、効果的な油汚れの落とし方と予防策をご紹介します。
油汚れが付く原因を知ろう
なぜ換気扇やレンジフードに油汚れが付くのか、その原因を理解することが重要です。
- 調理中の油煙
- 水蒸気と油の結合
- ホコリの付着
私が清掃業者として働いていた頃、あるお客様から「コンロの近くにない換気扇なのに、なぜ油汚れがひどいの?」という質問を受けたことがあります。
実は、調理の際、食材を加熱すると水分が蒸発し、その水蒸気に油の粒子が付着し、換気扇に吸い込まれます。それが冷えて固まることで油汚れとなるのです。さらに、時間が経つとホコリが付着し、より頑固な汚れへと変化していきます。
プロ直伝!効率のよい油汚れの落とし方
換気扇やレンジフードに頑固に付着した油汚れを効率よく除去するには、分解できる部品を外し、お湯を活用したつけ置き洗浄法が最適です。この方法は、お湯の力を借りることで通常の掃除方法よりも効率的で、疲労感が少なく油汚れを落とすことができます。
準備するもの
- 大きめのゴミ袋(シンクを使ってもOK)
- 洗剤(中性・アルカリ性)
- ドライバー( レンジフードの機種によって必要)
- ビニールシート
- 新聞紙
- ゴム手袋
- ヘラ
- キッチンペーパー
- 雑巾
- 古い歯ブラシ
- コゲ取りスポンジ
- はけ
- マイクロファイバークロス
分解する前に!
- レンジフードの分解方法は、機種ごとに異なることがあります。取扱説明書を必ず確認し、適切な手順で分解作業を行いましょう。
- パーツが固着して外れない場合は、無理な力を加えるのを避け、一旦作業を中断して状況を再確認することが大切です。
- ネジを取り外す際は、その位置を記録しておくと、後の組み立て作業がスムーズに進みます。
つけ置きできるパーツを外します
換気扇・レンジフードの種類によって、分解方法が異なりますが、ここでは、一般的なシロッコファンタイプのレンジフードを例に、つけ置きできるパーツの外し方をご紹介します。
事前の注意事項と準備
- 感電防止のため、必ず電源コネクターやコンセントを抜いておきます。
- 新聞紙やビニールシートなどを敷いて、油汚れや洗剤が床やコンロに落ちないように保護します。
整流板の外し方(薄型レンジフードの場合)
レンジフード前面にある板状のパーツで、調理中の煙や油を効率的に吸い込む役割を果たしています。機種によって形状や外し方が異なるので、以下の2つのタイプに分けて解説します。
マグネット固定式:整流版を両手で支えながら、内側にあるマグネットキャッチを外します。整流版は重いのでゆっくりと下げてください
レバー固定式:整流版の両端にあるレバーを下に下げます。レバーが固い場合は、潤滑油をさしてみたりするなどして、無理に力を加えないでください。
フィルターの外し方
- ツメ固定式: フィルターの両端または片側にあるツメを内側に押しながら、手前に引いて外します。
- ネジ固定式: フィルターを固定しているネジをドライバーで外し、フィルターを取り外します。
- その他: 一部の機種では、フィルターがスライド式になっている場合があります。取扱説明書を確認し、正しい手順で外しましょう。
ベルマウスの外し方
ベルマウスは、シロッコファンの周りを囲む円筒形のパーツで、油汚れが溜まりやすい場所です。
- ネジ固定式: ベルマウスを固定しているネジを回し、ベルマウスを下にスライドさせて取り外します。(ドライバーが必要な場足もあります)
- ワンタッチ式: ベルマウスの側面にあるツメを押しながら、手前に引いて外します。
- その他: 一部の機種では、ベルマウスがオイルパックと一体型になっている場合があります。オイルパックを引き出して、ベルマウスを外しましょう。
シロッコファンの外し方
フィルターを取り外すと、奥に円形のファン(シロッコファン)が現れます。このファンは強力な風力を生み出し、油煙を効果的に吸引します。シロッコファンを取り外すには、中央にあるネジを外します。次に、ファンを固定しているリングを回転させて取り外します。
- 中央のネジを外す: シロッコファンの中央にあるネジをドライバーで外します。
- リングを回して外す: ファンを固定しているリングを反時計回りに回し、ファンを引き抜いて取り外します。
- 注意: シロッコファンは、羽根が鋭利な場合があります。ケガをしないように、ゴム手袋を着用しましょう。
オイルバックの外し方
一部のレンジフードには、シロッコファンの下にオイルパックが設置されています。オイルパックは、引き出して簡単に取り外せます。
全てのパーツをつけ置き洗いで手間を省く
- お湯(40~50度)を部品が浸かる程度に入れる
- ゴミ袋(もしくはシンク)に外した部品を入れる
- 洗剤を適量入れる
- ゴミ袋の口を縛り、30分~60分ほど放置する(シンクの場合はそのまま放置)
- 放置後、部品を取り出し、お湯で軽く擦りながら丁寧に洗い、汚れを確実に除去していきます。
- 洗い終わったパーツは、しっかりと乾燥させます。水気が残っていると、カビや雑菌の繁殖の原因になります。
定期的なフィルター掃除は洗剤パックで
長期間放置されていない比較的新しい油汚れには、洗剤パック法が効果的です。まずキッチンペーパーを汚れた部分に当てます。次に、アルカリ電解水をその上から噴霧し、紙に十分染み込ませ、しばらく時間をおきます。
その後、ブラシやスポンジを使用して軽くこすり洗いを行い、最後にお湯で十分に洗い流します。

アルカリ性洗剤の使用により、塗装の剥離や変色が懸念されるポイントです。実際に黒い塗装部分では、こすった箇所に若干の剥がれが見られました。しかしながら、全体を見渡した際には、特に目立つほどの損傷ではありませんでした。
外せないパーツや本体はアルカリ性の洗剤で手軽に掃除
軽度の油汚れであれば、アルカリ電解水スプレーやオレンジ成分を含むスプレー洗剤を汚れた箇所に直接噴霧し、素早く拭き取るだけで、簡単に油汚れを落とすことが可能です。
内側の頑固な汚れには、スプレーを吹きかけ後、ブラシやコゲ取りスポンジで優しくこすり洗いすると、スッキリ落とせます。
細かいところははけを使うと効率よく落とせます。
整流板の汚れの落とし方
整流板は取り外し可能ですが、サイズが大きいため扱いに注意が必要です。新聞紙を広げて作業スペースを確保し、アルカリ電解水を噴霧しながら汚れを拭き取ります。
シロッコファンを覆っているカタツムリ(換気ダクト)の掃除
カタツムリとは、シロッコファンを取り外すと現れる円筒形の空間を指します。この部分の下部に油汚れが蓄積しています。長期間清掃されていない場合、幅広のヘラを使用し、カタツムリの形状に沿って動かすと、粘度の高い油汚れが剥離してくる可能性があります。この油汚れは徹底的に除去する必要があります。
油汚れの放置は危険!
火災のリスクが高まる
換気扇やレンジフードに蓄積した油汚れは、調理時の火が引火する要因となり、火災のリスクを高めます。特にコンロの直上に取り付けられているレンジフードは、油汚れが火元に近い位置にあるため、より一層の注意が必要です。
換気効率の低下
油汚れがフィルターやファンに蓄積すると、空気の流れが阻害され、換気効率が悪化します。さらに、カタツムリと呼ばれる換気ダクト内に溜まった油は、シロッコファンの動作を妨げる可能性があります。これにより換気機能が低下し、最終的には機器の故障につながる恐れがあります。
衛生面の問題
油汚れは、カビや細菌の温床となりやすくゴキブリなどの害虫のエサにもなり、不衛生な環境を作り出します。放置することで、キッチン全体の衛生状態が悪化する可能性もあります。
掃除の手間を減らし、油汚れをつきにくくする予防策
調理中の換気扇は必ずオン
調理中は換気扇を必ずオンにして、油煙を効率的に排出しましょう。調理後も、すぐに消してしまうのではなく、30分くらい弱風で回し続けることで、キッチン内の油分を飛ばし減らすことができます。
こまめな拭き掃除を習慣に
調理後、レンジフードや換気扇の表面を、キッチンペーパーなどで軽く拭き取るだけでも、油汚れの蓄積を防ぐことができます。毎日こまめに拭き掃除をすることで、大掛かりな掃除の頻度を減らすことができます。
フィルターを活用
フィルターを上手く活用することで、油汚れの蓄積を大幅に減らすことができます。
フィルターカバーの有無で、内部の汚れ具合に顕著な違いが生じてきます。定期的な交換が必要ですが、清掃の労力削減を考慮すると、その使用価値は十分にあると思います。
まとめ
お掃除は清潔さを追求する作業であり、成果が見えないと意欲が低下しがちです。そのため、投じた労力に見合う結果が得られる清掃方法を見つけていきたいですね。試した結果や感想があればコメント欄で教えてくださいね。
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