収納&整理整頓

【実体験】高齢親との実家片付けでケンカせず成功した方法と失敗談

収納&整理整頓

先月のお盆休み、1年ぶりに実家へ戻ると、玄関を開けると、子どもの頃から変わらず積まれている雑誌の山が、まるで季節とともに成長したかのように高くなっていました。母が「これはあとで読むから」と言い続けてきた雑誌たちは、今や私の腰ほどの高さまで積み上がっていました。

リビングの隅には、私が大学生の時に送った引っ越し用段ボールが、まるで家の一部のように静かに鎮座し、その光景に「ああ、時間が止まっているな」と感じました。

ある日、「今度の土曜日、一緒に片付けようか?」と母に尋ねると、母は一瞬私の顔を見て、すぐに新聞をパラパラめくり始めました。

母が新聞をめくる音だけが響き、私は『また押し付けてしまったかな』と後悔しました。後で母に聞くと、「急に言われるとプレッシャーを感じる」とのこと。

母との片付け、失敗と気づきから見つけた家族の距離の近づけ方

ある夕方、母が洗濯物を抱えて階段を下りていたとき、新聞紙の束につまずきそうになりました。思わず「危ないよ!だから片付けなって言ってるのに」と強い口調になってしまい、母は「もういい、自分でやるから放っておいて」と部屋に入っていきました。

台所で一人、母の言葉を何度も思い返し、自分の言い方が母の気持ちを考えていなかったと気づきました。その夜、夫に「結局、何がしたかったの?」と聞かれ、「母が安全で過ごしやすい家でいてほしいだけなのに、それが伝わっていなかった」と初めて自覚しました。

それからは、母のペースを尊重し、素直に感謝の言葉を伝えるように心がけました。

スマホで写真を残す、母との思い出整理

実家の押し入れを整理していたとき、私が幼稚園で描いた絵や、母が撮りためた家族写真のアルバムが10冊以上見つかりました。母は「これは絶対に捨てられない」と強く主張します。そこでスマホのスキャナーアプリを使い、「写真をデジタル化して実物は手放そう」と提案しました。

最初は「機械の操作が難しい」と渋っていた母も、一緒に作業を始めると、「この写真はあなたが初めて自転車に乗った日だよ」と指さしながら懐かしそうに話し始めました。

アルバムをめくるたびに「この日は大雨だったね」「ここは祖父の家だ」と記憶がよみがえり、母の手元が少し震えているのを感じました。作業が終わる頃、母が「これなら場所を取らないし、いつでも見られるね」と安堵の表情を見せた瞬間、胸が熱くなりました。

ただ一つ、母がどうしても実物で残すと言ったのが、私の小学生時代の日記帳でした。「親のくせに日記を読むなんて」と腹立たしく思ったのですが、母は「あなたが心を開いてくれなかった頃、これが唯一の心の窓だったの」と抱きしめるように抱えていました。

普段は感情を表に出さない母が、日記を一緒に読み返しながら「こんなこと考えてたんだね」と呟いたときの、初めて見る優しい表情が忘れられません。ページをめくる指先がゆっくりと、時折止まりながら。

「この日記が、あなたの成長を見守る私の宝物だった」という母の言葉で、初めて母の気持ちを知りました。この経験から、単なる物の整理ではなく、互いの思いを受け止め合うプロセスこそが、親子の関係を深めると実感しました。デジタル化も実物保存も、それぞれの想いを尊重することで、初めて意味を持つのだと学んだのです。

母と約束した片付けルール、ご褒美で笑顔に

私たち親子の片付けルールは「1日2時間だけ」。午前中の涼しい時間に作業し、終わったら近所の喫茶店でクリームソーダを飲むのが恒例です。母は「今日はどこまでやる?」と自分から声をかけてくれるようになり、作業後のご褒美タイムでは、昔の思い出話で盛り上がるのが楽しみのひとつです。

ある日、作業が終わっていつものように喫茶店へ向かう車中で、母が「よくもあんなに物をためたね~」とまるで他人事のように話しました。それを聞いて「母さんだよ!」と、私は久しぶりに大笑いしました。

普段は一緒に食事をする機会も少なく、会話も必要最低限だった私たち親子ですが、片付けを通じて自然と笑い合えるようになったのは、私にとって大きな変化でした。

母と一緒に使ってみた、思い出の品との別れ

母は「これはまだ使えるから」と何度も口にしていました。押し入れやクローゼットには、長年使っていない調理器具や、もうサイズが合わなくなった洋服がいくつも眠っていました。

ある日、私は「じゃあ、今度一緒に使ってみようか」と母に声をかけました。母は少し照れくさそうに「うん、そうだね」と頷き、私たちはキッチンに並びました。その調理器具を実際に使ってみると、母は「やっぱり重いし、今はもうあまり使わないかも」と自分から気づいたようでした。

また、思い出の洋服を一緒に取り出し、母に着てもらうと、「サイズが合わなくなったし、今の生活にはちょっと合わないかな」と母自身が言い始めました。一緒に使ったり、着てみたりすることで、母が納得して手放せるようになっていきました。

この経験で、ただ「捨てなさい」と言うのではなく、一緒に試してみることで、母も自分で判断できるのだと知りました。親だけでなく、自分自身も否定されるのは誰にとっても嫌なことだと改めて感じました。

『保留箱』で母の気持ちを再確認した日

キッチンの片付けをしていたとき、母が「この大きな鍋はもう使わなくなったから処分してもいいかな」とつぶやきました。私はその日のうちに資源ごみに出してしまいましたが、翌朝、母が「やっぱりあの鍋、孫が来たときにカレーを作るのに使いたかったんだけど…」と寂しそうに話す姿を見て、胸がざわつきました。

「もう一度確認すればよかった」と心から後悔し、母の迷いにもっと寄り添うべきだったと気づきました。それからは、迷っている物は“保留箱”に入れ、1週間は様子を見ることに決めました。このやり方で、母も「本当に捨てていいか自分の気持ちを再確認できる」と安心して手放せるようになりました。

親とケンカしない片付けのポイント

  • 最初は自分の物から片付ける
  • 思い出の品はデジタル化して保存する
  • ご褒美や休憩でモチベーションを維持する
  • 親の暮らしを否定しない、前向きな提案をする
  • 片付けを強要せず、親のペースを尊重する
  • 親の価値観を尊重し、寄り添う姿勢を持つ
  • しっかり話し合い、計画を立てて進める
  • 家族全体で情報共有する
  • 思い出や親子の会話を大切にする

まとめ:私の失敗と成功から

片付けを進める中で、母が「この着物、あなたが七五三の時に着てたのよ」と懐かしそうに話してくれたり、「お母さん、昔はこんなに物を大事にしてたんだね」と私自身が気づくことも多くなりました。

最初は「早く片付けなきゃ」と焦っていた私も、母と一緒に思い出を振り返る時間が増えるにつれ、「片付けは単なる整理整頓じゃなく、親子の心の距離を縮める大切な時間なんだ」と感じるようになりました。

もしあなたも実家の片付けで悩んでいるなら、ぜひ焦らず、親の気持ちや性格をゆっくり受け止めながら、自分も息苦しくなりすぎないように気持ちを切り替えてみてください。そうすることで、親子で心地よく片付けを進めるコツが見つかるはずです。

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